この近辺にお住いの方でなくても、車で甲州街道を新宿に向かって走っていると、桜上水の信号を過ぎたところで左手に、屋根の上に竹細工のゾウが置かれたお店を見た覚えがあるという方は多いのではないでしょうか。お店は竹細工の竹清堂さん。残念ながら2021年暮れに移転されましたが、名物の竹細工のゾウは皆さんの記憶に長く残ることでしょう。
1907年に田中商店として初代の喜助さんが甲州街道沿いに創業。当時は農家も多く、甲州街道沿いには竹細工屋や鍛冶屋などのお店が多くあったそうです。日常使いの竹のざるや籠などが作られていましたが、高度成長時代になるにしたがい身近な道具がプラスチック製品に変わっていきました。そこで二代目の清さんは竹細工の技術を応用した造形物の作成をはじめ、竹で作った白鳥をお店の屋根に置き人々の目を引いたのをきっかけに、多くの造形物を作成されるようになりました。ゾウは築地本願寺の灌仏会のために作ったのが始まりだそうです。さらに三代目の旭祥さんはより高度で精細な技術により、工芸品作家として多くの賞を受賞されています。
現在、山梨県北杜市長坂町の工房兼ギャラリーで、三代目、三代目の奥様、そして四代目の茂樹さんが籠の制作をし、週末の金・土・日にはギャラリーをオープンされているとのことです。近くにお出かけの際に、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
写真:竹清堂提供